林檎とレールのあいだ

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一度決めたことはむやみに変えるべきではない

もし自分がフレンチレストランを開くとしたら店の名前は「ラ・パルプンテ」と決めています、こんばんは。

 

ちょっと前の話なんですが、ふと思い出したので書き留めておきます。

学生時代、通学で乗り換えのために使っていた某ターミナル駅に立ち食いのカレー屋さんがありまして、僕は毎日その前を通る度に強烈なカレーの香りに誘われて何度も入ろうと思いながら、まあそのうち、と思いつつ、ついに一度も食べること無く卒業してしまいました。

 

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※画像とそのカレー屋は無関係です。

 

その後も、たびたびその店の前を通っていたのですが、やはり、まあそのうち、といいながら20年近くが経過していました。


ところが、先日、再び、ふとその前を通った時、満を持してというか、なぜか分かりませんがフラっと足が向かったのです!
 

20年近く思い続けていた念願のお店です、いやでも期待に胸が膨らみます。今日この日のためにあれだけ強烈だったカレーの香りの誘惑に打ち勝って来たのだと。

そして心の中では「よっしゃ、カツカレーだな、ここは。」と決めてお店に向かいました。


その後、とてつもない後悔が待ち構えているとは知らずに。。


店に入ると、外とは比べ物にならないぐらい食欲をそそるスパイスの香りがそこら中に漂っています。おのずとカレーへの情念が高鳴ります。念のため「カツカレー」をメニューで確認しようと見ていたら、期せずして「ハヤシライス始めました」の文字が目に飛び込んできました。

そして次の瞬間、あろうことか、ついとっさに「じゃぁハヤシライスで。」と注文している自分に気付きました。


僕は、カレーを食べたくなるときもありますが、実はハヤシライスも好きなのです。

レトルトのカレーを2袋買うときは同時にハヤシライスのレトルトを3袋買うぐらいです。

 


しかし、これがすべての間違いでした。

そう、ここはカレー屋さん。
どこに行ってもカレーの香りで満ち満ちているのです。
知らず知らずに自分の表の心も裏の心も、そして潜在意識も含め自分のすべてが、カレーを欲するモードになっていきました。

しかし、そこに届いたのはハヤシライス。
見た目は似ていますが、カレーとは全く違う食べ物。

より一層漂ってくるはずのカレーの香りが全くしない。。
言いようの無い違和感。

そしてそれは、ハヤシライスを口に運んだ瞬間に、決定的となりました。

ハヤシライスがこんなに味気なく感じたことはありませんでした。
すでにカレーだけを熱望していた僕の体に入って来たのは何のスパイスもきいていないハヤシライス。
この、とてつもないギャップ、まるで裏切られたかのような感覚さえ覚える状況に、軽く絶望したのでした。

おそらく、普通のレストランでこのハヤシライスを食べていれば、その美味しさに満足したことでしょう。

しかし、ここはカレー屋さん。カレー臭が充満したカレーを食べるためのお店。

なぜよりによってこんな時にハヤシライスを始めたんだーー、てんちょーーっ!

そして、僕は肝に銘じました。
カレー屋ではカレーを食べるべきだ、と言うことを。